課題解決の先へ。「HAPIC(ハピック/HAPPINESS IDEA CONFERENCE)2025」オープニングイベントレポート

課題解決の先へ。「HAPIC(ハピック/HAPPINESS IDEA CONFERENCE)2025」オープニングイベントレポート

(特活)国際協力NGOセンター(JANIC)が主催するカンファレンス「HAPIC2025」のオープニングイベントが、「NAKANIWA」からほど近い一般社団法人 官民共創HUBの拠点で行われました。同じ志を持つ仲間と「社会課題解決の先にある幸せ」について多彩なセッションやディスカッションが行われました。今回は、このカンファレンスの様子を取材してきました。

「HAPIC2025」を中央日本土地建物が運営する「官民共創HUB」で開催

はじめに、JANIC理事長・鬼丸昌也氏による開会挨拶が行われました。JANICは設立38年目のネットワークNGOで、現在120以上の国際協力を行うNGOが正会員となり、合計約190の組織と共に活動しています。(2025年11月取材時点)

そのJANICが主催する「HAPIC(ハピック/HAPPINESS IDEA CONFERENCE)」は、同じ志を持つ仲間と社会課題解決の先にある「幸せ」について話し合う場となっています。

鬼丸氏は、市民社会を「何か困っていることをほうっておけない人たち」の集まりとし、国や民族、宗教を超えて、人の尊厳や幸せを守りたいという自発的な思いが集まった団体がNPO/NGOである、と語りました。そしてこの「ほうっておけない気持ち」を具体的な行動に変えることが今の時代に求められていることであり、本セッションがその要素を確かめ合う機会となることへの期待を寄せました。

JANIC理事長・鬼丸昌也氏

セッション1「国際協力の新たな羅針盤 不確実な世界における平和と持続可能性」

セッション1は、JANICの「国際平和と安全」ワーキンググループが主催し、不確実な世界における国際協力、平和、安全保障のあり方について議論されました。

まず、JANIC政策アドバイザーの若林秀樹氏によるビデオメッセージで趣旨説明が行われました。
戦後80年を迎え、日本は平和で豊かな暮らしを送る一方で、世界ではSDGs達成が道半ばであり、50を超える紛争が起きていること。そして欧州や日本でも軍事費増加などの影響を受け、ODA(政府開発援助)予算が減少し、開発・人道支援に回る資金が世界的に減少していること。これらについて若林氏は「平和なくしては持続可能な開発はあり得ず、持続可能な開発なくして平和もあり得ない」という「2030アジェンダ(2015年に国連で採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ』)」の一節を示します。
国際協力の強化が必要である一方で、安全保障の現実を踏まえた社会の理解・支持を得るという大きな壁に直面している現状が提起されました。

JANIC政策アドバイザーの若林秀樹氏

続いて元駐インドネシア大使で、りそな総合研究所理事の石井正文氏による基調講演が行われました。
石井氏はまず「今のODAを取り巻く国際環境の危機」として、2030アジェンダ採択時(2015年)の「平和と持続可能な開発の両立」の精神とは裏腹に、現在は平和も持続可能な開発も低下している現実を訴えました。

2023年4月に設立されたOSAは同志国の安全保障能力や抑止力の強化に貢献し、日本の安全保障環境の強化にも寄与することを目的とした枠組みです。石井氏によると、現状は国際情勢の厳しさから、防衛費とOSAが増加し、ODAが減少傾向にあるといいます。しかし、平和と持続可能な開発の双方が危機に瀕する中で、ODAもOSAも増やすべきであり、国民の心に響く力強い「ODAの必要性」の説明が必要であると結論づけられました。

元駐インドネシア大使、りそな総合研究所理事の石井正文氏

次に、法政大学副学長・グローバル教育センター長で国際文化学部教授の松本 悟氏による基調講演が行われました。
松本氏が訴えたのは「国益とわかりやすさ」の問題です。40年ほど前は「巡り巡って日本のためにもなるのでODAを推進する」という議論だったものが、現在は「日本のためになるからやる」という近視眼的な議論が優勢になり、日本企業進出、在留邦人保護などといったわかりやすい効果が重視されてしまっているといいます。

続けて松本氏は「軍事目的と開発目的のわかりにくさ」を説いていきます。ODA予算はすでに災害対処や研修などで“軍事目的ではない開発目的”として軍に供与されており、2015年から8年間で130件以上の実績があるのだそう。また、OSAは安全保障を目的としますが、人道支援、災害対処、捜索救難、医療援助物資の輸送など、ODAと重複するような活動が項目に入っているといいます。
そこで「ここまでは人道支援/民生、ここからは軍事目的/安全保障」という線引きについて、概念的には理解できても、例えば「人道支援として供与された巡視船が紛争に巻き込まれた場合」などの“現場”で本当に区別できるのか?という問題提起がなされました。

松本氏はこの不確実な世界における羅針盤として、「わかりにくいことをわかりにくいまま伝え合う力を身につける」ことを提唱しました。わかりやすさを追求すると、市民社会がこだわっている複雑な前提や条件が切り捨てられ、国益のような単純なメッセージにかき消されるリスクを説明し、「大同小異」になぞらえて「小さな違いを大切にしながらも、どうやって“大同”を目指せるか。異なる意見を持つ者同士が議論する場や粘り強さ」が必要だと訴えました。

法政大学副学長・グローバル教育センター長、国際文化学部教授の松本 悟氏

セッション1の最後は、ワールド・ビジョン・ジャパンの柴田哲子氏がモデレーターを務め、石井氏、松本氏、そしてNPO法人 新外交イニシアティブ代表で弁護士の猿田佐世氏、認定NPO法人 難民を助ける会(AAR Japan)会長で、立教大学大学院社会デザイン研究科・社会学部教授の長 有紀枝氏によるパネルディスカッションが行われました。

最初にマイクを取った猿田氏は、日本で“マジョリティの常識”となりつつある「防衛予算の拡大と対中抑止」の方向性を取り上げ、世界の大多数は米中どちらの陣営にもつかず、中間に立とうとしている現実を説明し、日本だけが米国一辺倒の安全保障政策にしがみつくことの危うさを指摘しました。
そして防衛力整備は必要としつつも、最終的には外交による緊張緩和が鍵であり、特に政府間交渉だけでない多層的な交流や民間レベルの関係構築、つまり「マルチトラック外交」が重要だと訴えます。政府が動けない局面でも、経済・文化・市民社会のつながりが日中関係を支えてきた事例を挙げ、NGOの役割の大きさを示しました。

NPO法人 新外交イニシアティブ代表で弁護士の猿田佐世氏

続いてマイクを取った長氏は、「人間の安全保障」を取り上げ、国家中心の安全保障では守られない個々の人間の安全を重視する考え方として、冷戦後にこれが登場した背景を説明。紛争の多発、地雷問題、国家の崩壊、グローバル化の歪みなどに対応する形で、国連開発計画(UNDP)が提唱したことを述べました。
しかし現在は、当時の前提が崩れ再び大国間競争が激化。国際人道法を無視する国家も増え、USAID(米国国際開発庁)の後退など国際援助財源も危機にあることを指摘します。
そして長氏は既存の枠組みだけでは対応できない局面にあり、企業も含む多様な主体が新しい形で人間の安全保障を再構築する必要性が出てきたと訴求。外交を目的としていない市民社会が、マルチトラック外交にどう関わるかが今後の課題だとしました。

認定NPO法人 難民を助ける会(AAR Japan)会長、立教大学大学院社会デザイン研究科・社会学部教授の長 有紀枝氏

ここでディスカッションのテーマが掲げられ、それぞれについてパネリストの見解が示されました。

テーマ1:激動する世界秩序と日本の進路

石井氏は、従来の「力によるルール」から、今後は“多数派が支持するものは正しい”という「マジョリティによるルール」(国際社会の民主化)に変わるだろうと予測。この流れの中で、国際法や人間の安全保障といった普遍的コンセプトの重要性は高まるとしました。
猿田氏は、米国では「力による平和(Peace through Strength)」が主流である中、日本は弱肉強食の弱の側であり、日本が繁栄するための基礎となって「人権、法の支配、民主主義」といった価値観を自ら守り、世界に示していく必要があると述べました。

テーマ2:国際情勢を踏まえて、日本はどういう役割を担うべきか

松本氏は、市民社会アクターに「日本」の役割を問う風潮自体を見直す必要があると指摘します。市民社会には「国家に対応するナショナルな市民社会」「国境を越えた脱国家的ネットワーク」「世界国家を志向する世界市民社会」「同じ惑星に生きる当事者として行動する地球市民社会」という四類型があり、市民社会を国家や政府に対応する捉え方だけでなく、他の型も前提に議論すべきだと述べました。

石井氏は、日本がやるべきことを「友だちをたくさんつくること」に例え、ODAや自由貿易を通じて東南アジア諸国が日本を頼りにできるようにすることが重要だと訴えます。そしてODAもOSAも、この目的のためには意味のある手段だと続けました。

これらの発言を受けて「国際協力は誰のものになるべきか」を問われた長氏は、「『現地のため』といっても、誰を指すのかは曖昧で、支援対象は一様ではない」と指摘します。そしてNGO は現地、日本の組織、寄付者など複数の利害の間でバランスを取らなければ活動が成り立たないこと、また援助は「他者の金を他者に届ける」構造であり、仲介者であるNGOの姿勢が結果を左右することを示します。また日本の NGO である以上、日本の立場や戦後の歴史を意識せざるを得ないとも述べました。

ディスカッションの様子

また松本氏は、「援助は『無償』と『有償』で本質が異なる」と主張します。「無償資金は支援対象に自立促進を求めず、与え続けてもよい」と述べる一方で、有償資金は返済能力を有していることが前提で、日本側にも財政的利益があると指摘。有償と無償を同列に扱うべきではなく、特に無償資金の用途や対象国の妥当性を細部までチェックする必要があると訴えました。

テーマ3:市民社会はどういう挑戦をしていくのか

挑戦の一案として挙がった「マルチトラック外交」について説明を求められた猿田氏は、マルチトラック外交を「政府間外交(トラック1)以外のさまざまな主体(議員、自治体、民間企業、NGOなど)が重層的につながる外交」と説明しました。そして、日本の外交がうまくいかない時に支えているのは、民間(経済、文化)や会場にいる方々のような開発NGOの活動であり、NGOの活動は日本の外交の根底の基礎を作っていることに感謝をしているし、そういう活動をしている方々は自信を持つべきと続けました。

ディスカッションの様子

長氏は、東日本大震災で130以上の国から支援が届いた背景には、日本のODAだけでなく、NGOが長年続けてきた顔の見える支援が外交的信頼を築いてきたことがあると述べました。同時に、新外交イニシアティブや言論NPOのように、外交そのものを目的とする市民社会組織を育て、社会全体で支えていく必要があると強調しました。

セッション2「なぜ今Shared Visionなのか マルチステークホルダー連携の推進と深化に向けて」

セッション2では、企業とNGOの連携を含むマルチステークホルダーによる世界課題解決をテーマに、「Shared Vision」の取り組みと事例が紹介されました。

導入として、国士舘大学21世紀アジア学部 学部長教授・学部長の中山雅之氏がマイクを取りました。まず「Shared Vision」とは、NGOと企業が共通の目的を設定し、それぞれが持つ資源を提供し、責任をもって遂行することで、それぞれの組織のビジョン実現を加速させるパートナーシップだと説明しました。
NGOと企業の連携タイプは、伝統的な「支援型(資金提供)」から、プロボノなどの「協力型」、業務を分担する「共創関係型」、さらに「新組織を作る」の4つの形へ進化しており、徐々に相互関係が深まっているといいます。そして最後に「いつまでも『寄付をください』ではなかなか進みません。ストーリーを作って新しい協業連携のプロジェクトを作っていければ」と展望が語られました。

国士舘大学21世紀アジア学部 学部長教授・学部長の中山雅之氏

続いてはシェアードビジョン事例の紹介です。認定NPO法人 日本ハビタット協会事務局長の篠原大作氏はLIXILと連携し、ケニアで実施された「スマイルトイレプロジェクト」を紹介しました。現地住民が低価格のLIXIL製プラスチック便器「SATO Pan」を購入し、日本ハビタット協会がベースのトイレを作る仕組みで、企業の製品販売とNGOの衛生環境改善が両立する共創型連携となっています。篠原氏は、規模は小さくとも、プロジェクトのストーリーを明確にし、企業の本業に資する形で連携することが重要だと説きました。

認定NPO法人 日本ハビタット協会事務局長の篠原大作氏

株式会社東急エージェンシーSDGs プランニング・ユニット「POZI」のサステナビリティ・プランナーの丸原孝紀氏は、まずWWFジャパンとの「プラスチックサーキュラーチャレンジ2025」を紹介。12の日本企業と共に、包装容器のサーキュラーエコノミー実装を目指し、政府への政策提言を実施するというものです。「パンダと人々が手を取り合って輪を作る」ビジュアルで、「全員で資源の輪を作る」意図を表現しています。
また、ユニリーバ・ジャパンとの「あしたにエール!」では、パラアートを活用したプレゼントキャンペーンを展開。アートのノベルティ化に加えてパラアーティスト本人にも光を当て、インタビュー動画などを通じて当事者の声を伝える活動を推進したとのことでした。

株式会社東急エージェンシーSDGs プランニング・ユニット「POZI」のサステナビリティ・プランナーの丸原孝紀氏

JICA経済開発部次長の田中伸一氏は、「JICA共創×革新プログラムQUEST」を紹介しました。QUESTは複雑化する社会課題に対し、複数の主体(企業、NGO、大学など、途上国の主体も含む)が知恵、技術、ノウハウを持ち寄り、共創とイノベーションを推進するための概念実証(POC)支援プログラムです。田中氏は「1つの組織ではやりきれないところを 2つ、 3つの組織・関係者が一緒にやって、お互いの得意な部分をさらに発揮し、足りない部分は補い合って、ますます複雑化する社会課題に取り組んでいければ」と呼びかけました。

JICA経済開発部次長の田中伸一氏

続いて中山氏がモデレーターを務め、4人でのディスカッションが行われました。

「企業とNGOの相互作用を深めるには」という問いにあたって、まず中山氏は日本ハビタット協会がユニークな事例を持っていることを示唆します。
話を振られた篠原氏によると、外国人観光客が爆発的に増えている一方で、国内では外貨の寄付を受け付ける窓口が少ないことから、太宰府天満宮より「外貨の賽銭」の寄付を受けるプロジェクトが進んでいるのだとか。
続けて一緒にやる上での考え方を問われた篠原氏は「ただ『寄付してください』じゃ面白くないんですよ。どんなビジョンを持っているかをお互い聞き出してやっていく。同じように『困っているところがあれば助けたい』というビジョンをお持ちであればプロジェクトを立ち上げる」と応じました。

丸原氏は、企業側の多くで「お金の流れが力の流れ」という意識が強いといいます。そこで、NGOは発注先ではなく「高い専門性で企業ができないことを実施するパートナーである」という位置づけを最初に丁寧に理解してもらうことが大事だと説きました。
田中氏は、JICAでも積極的に自らの考える課題を発信し、コミュニケーションを深める場を持つことを重視していることを示します。そうする中で、一見関係のない技術やネットワークがお互い活かせることに気づく、そうした機会が重要だと述べました。

「企業とNGOとの規模のギャップ」について問われた篠原氏は、小さな団体でも、企業にとって魅力のあるストーリーと、安心できる実績を示すことが評価につながると答えます。そしてそうなれば、規模が小さいことによる柔軟性やレスポンスの速さも強みになると訴えました。
最後に中山氏は、とにかく「場に出てくること」が大事だとアドバイス。自団体の提供価値を可視化し、新しい出会いを楽しみ、小さな成功を積み重ねるよう参加者を鼓舞しました。

ディスカッションの様子

セッション3「HAPIC2025協賛企業紹介」

続いて、社会との関わりに熱意を持つHAPIC2025協賛企業3社が、その動機や取り組みを紹介しました。

株式会社ベター・プレイース 代表取締役社長の森本新士氏は、身近な方の自己破産といった個人的経験から、中小企業で働く人々の資産形成を支援することをライフワークとするようになったそうです。同社では、中小企業でも導入しやすい企業年金制度の普及を推進し、働く人々の将来の安心を支えているといいます。そこで「NGOの皆さんが将来の安心を得ながら、使命感を持って活動できるようにサポートしたい」と参加者に訴えかけました。

株式会社ベター・プレイース 代表取締役社長の森本新士氏

ひとしずく株式会社 代表の こくぼ ひろし氏は、学生時代の国際協力活動の経験から、ソーシャルセクターを広報・コミュニケーションの力で支えることを決意。ソーシャルグッド専門のPRパートナーとして、社会を支える人を支える活動を展開しています。この日はラオスの文化を発信するメディア、laoculture.jpの阪本 洋氏を招き、事業の事例として「Lao Fashion Festival in Tokyo」を紹介。ラオスの伝統文化を日本に伝え、現地の農村コミュニティに新たな収入をもたらすことを目指している様子が紹介されました。

ひとしずく株式会社 代表の こくぼ ひろし氏

中央日本土地建物株式会社 事業統括部イノベーション開発室次長で、官民共創HUBの事務局を務める松井哲憲氏は、まず同社が2027年開業予定のビル内に、行政、大企業、スタートアップ、NPO/NGOなど多様なステークホルダーが集まり、社会課題解決と経済性の両立を図る場の創出を目指す「(仮称)虎ノ門イノベーションセンター」の設置を予定していると伝えました。そして開業に先立ち、今回のようにイベント会場を社会課題解決に取り組む方々に提供し、活動を支援していること、またJANICとパートナー協定を締結していることも紹介されました。

中央日本土地建物株式会社 事業統括部イノベーション開発室次長、官民共創HUBの事務局を務める松井哲憲氏

セッション4「社会を変える伝える力の磨き方 遠い世界の課題を自分ごとにする発信の極意」

セッション4では、JANIC鬼丸氏と認定NPO法人PLAS代表理事の門田瑠衣子氏が、国際協力の現場から「伝える力」の磨き方について議論しました。

まずは門田氏によるPLASの活動紹介が行われました。ケニアとウガンダで、貧困家庭の子どもの教育と、保護者のスモールビジネスによる経済的自立を支援するというものです。しかし、支援を募るにあたってアフリカの課題を伝えることは難しく、食べ物、スマホの原材料、バラの花などといった自身の生活に身近なものがアフリカを産地としていることと紐づけて、少しでもつながりを感じてもらう工夫が必要だと語りました。

認定NPO法人PLAS代表理事の門田瑠衣子氏

また、年間100件を超える講演を手がけるという鬼丸氏からは、「伝える際の心構え」として「聴衆をコントロールしないこと」が挙げられました。相手をコントロールしようとする働きかけはすぐに感じ取られ、逆効果になってしまうといいます。そして自分はなんらかの願いを持っていても、受け取り方は受け手にお任せする信頼関係を築くことが重要だと訴えかけました。
また、音声メディア「Voicy」での情報発信やトークン発行型クラウドファンディングへの参加を例に、面白いと感じた新しいプラットフォームには、なるべく早く参入し「先行者優位」を得ることをアドバイスしました。

情報発信の際に気をつけていることとして、PLASでは、寄付が集まりやすいアフリカのネガティブな側面にスポットを当てるべきか、それでもアフリカのポテンシャルや子どもたちの可能性といったポジティブな側面をどれくらい伝えるべきか、団体内で常に議論し、バランスを取っているといいます。
これに対して、鬼丸氏が運営する認定NPO法人 テラ・ルネッサンスでは、「ありのまま(本質)」を伝えることを意識しているといいます。そして人々の暮らしや営み、喜び、悲しみ、あらゆるものをコントロールしない条件のもと、しっかりとした編集で伝えることが、NPO・NGOが市民社会にある理由のひとつだと訴えました。

ディスカッションの様子

最後に門田氏は、「伝える力を磨くアドバイス」として「とにかくたくさん発信すること」を伝授。自分がイマイチだと思ったコンテンツでも、出してみたら意外と響くことがあるため、回数をこなすこと。そして反応が大きかったものを見ながら、それに近いものを出していくこと。その一方で、目的と状況に応じて手段を変えるしなやかさを持つこと。他の団体や個人のインフルエンサーなど、良いモデルをたくさんフォローして学ぶことだと続けました。

まとめ

鬼丸氏による閉会挨拶では、近年話題となっている移民問題などを取り上げつつ、「逆風が吹くこともある国際協力の活動を諦めないためには、伝えること、対話をすること、コミュニケーションを手放さないことが重要です。そのためには『知恵を尽くすこと、技術を尽くすこと、チャレンジを尽くすこと』が求められます」と、改めて参加者へ訴えかけられました。この日の議論やレクチャーをきっかけに、社会課題解決や国際協力にあたたかい追い風が吹くことを願わずにはいられません。

NAKANIWA

ライター:NAKANIWA

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